【考察・ネタバレあり】六人の嘘つきな大学生の感想

みなさん、こんにちは。
書畜です。

今、話題沸騰中の浅倉秋成さんの「六人の嘘つきな大学生」を読んだので、その感想を書いていきたいと思います。

伏線やどんでん返し、犯人の犯行意図についても解説していきたいと思いますので、良かったら読んでみてください。

あらすじ

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

出所:KADOKAWA

著者

浅倉秋成さんは、2012年12月に第13回講談社BOX新人賞“Powers”の受賞作『ノワール・レヴナント』でデビューした1989年生まれの作家さんです。

2020年には『教室が、ひとりになるまで』が第20回本格ミステリ大賞小説部門と第73回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門の候補作にもなっている実力派です。

こんな実力派の浅倉秋成さんはなんと、大学生から東野圭吾や伊坂幸太郎を読み始めたらしく、そこから小説家を目指しだしたとの事です。本格ミステリーを書いているので、幼少期からめちゃくちゃ小説を読んでいる方と勝手に想像していたのですが、意外ですね。

感想

比較的、面白い本だったかなというのが正直な感想です。

Amazonの評価が高くコメント数も多かったし、ものすごく面白い本なのかもしれないと期待したのですが、(正直なところ)そこまでではありませんでした。

話としては、波多野が犯人と思われたが、実は嶌で、と思いきや九賀でしたという流れでした。そして、この事件を起こした動機が、内定を取りたいからではなく、就職活動で人を見極めることなんて出来ないという仮説を検証するため、というものでした。

設定や読者をミスリードする方法、徐々に謎が解けている展開は面白かったと思います。

個人的になるほどなーと思ったのは次の個所です。

・嶌が実は足が悪かったこと
=>ファミレスに向かうときに歩くのが遅い描写があったんですが、普通に小柄で小さいだけかと思っていましたが、歩行が難しかったんですね

・パスワードがジャスミンティーではなくフェアだったこと
=>これも騙されましたね。てっきり嶌が犯人だと思っていましたが、二人向けのメッセージだったとは。後半にジャスミンティーが不自然なくらい大量に出てくるので、まだ気づいていない読者向けにヒントを出しまくっているなと思ったら、ミスリードのためだっとは

・各登場人物の明かされた”スキャンダル”はその人の一面しか捉えておらず、実は裏のストーリーがあったこと
=>これも特段騙されたとは思わないですが、上手く設定を考えたなと思いました

・話を象徴する月の存在
=>表面しか見せず、裏側は見れないという話は以降も話を通して重要なシンボルだったなと改めて思いました

一方で、若干、ディテールではなんだかなと思った点もありました。

・アリバイで波多野が犯人と決まる
=>さすがに無理があったのではないでしょうか。誰にでも個人で仕事を頼める昨今、その日に予定がなかったからと言って、犯人だと決めつけるのは、ちょっとお粗末かなと思いました

・若干ブラコンの妹の登場が唐突だった
=>登場人物の死を伝えるのってミステリ小説だと親のケースが多いと思うのですが、妹、しかも若干ブラコン設定にする必要はあったのか?と思ってしまいました

・兄(相楽ハルキ)の存在が気持ち悪い
=>本編の重要なストーリーにはあまり関係ないような気がして、若干浮いているように感じました

・嶌が夜に泣いた意味
=>結局、就職活動で気持ちが不安定になっているから?としか読めなかったのですが、わざわざ泣く必要はどこにあったのかよくは分かりませんでした

・波多野が死ななければならなかったのか?
=>死ぬってよっぽどだと思うのですが、死ぬ必要はあったんですかね?

・パスワード3回に設定する必要ある?
=>名探偵コナンじゃないんだから、3回で消えるなんて現実的にはないだろうよ、と若干冷めてしまいました

・スピラの出来の悪い後輩に仕事任せることになり、さらに商談が成功する話
=>メール一本に1.5時間もかけるような仕事が出来ない後輩に大きな仕事を任せるなんでまずありえないし、その後輩が営業では成功するってのも非現実的すぎて、なんだこの設定は?と引いてしまいました

最後に、涙ぼくろがある就活生の評価を嶌はなぜ変えたのだろうか?と思った人はいませんか?僕自身、洞察力があって心の目で見れば何でも分かりますとか言う就活生がいた場合、何言っちゃってんだよと思って確実に落とすと思うんですよね。

それで途中まで、嶌も落とす気満々だったんです。ところが、人事がビリヤード台やアイデア創出のうすら寒い話をして、就活生が非常に純粋なリアクションをしたところで嶌は評価を変える訳です。

これは、この就活生が社会人としてやっていけるかどうかの評価とは全く関係なく、過去の自分と照らし合わせて、人を疑うことを知らない人間(=昔の自分)が、就活を通して今後どう変化していくのか興味本位で見てみたくなったのかもしれませんね。

それでは!

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