「臨床の砦」を読んで

みなさん、こんにちは。
書畜です。

今日は僕の大好きな作家さんの夏川草介先生が書いた「臨床の砦」について感想を書いていきたいと思います。

夏川草介先生といえば

現役のお医者さんとして働くかたわら、本を執筆されている超絶すごいお方です。夏川先生の作品で一番有名なのは何といっても「神様のカルテ」でしょう。第10回小学館文庫小説賞を受賞し、2010年本屋大賞では第2位、そして2021年4月時点でシリーズ累計発行部数は337万部を記録しています。櫻井翔さんで映画実写化、福士蒼汰さんでドラマ化されたことも記憶に新しいのではないでしょうか。

今回の作品も、夏川先生ご自身がお医者さんだからこそ書けた作品です。

あらすじ

舞台は長野県の信濃山病院。テーマは「新型コロナウィルス」

主人公である敷島寛治は18年目の内科医で、地域唯一の感染症指定医療機関である信濃山病院で、コロナ患者と対峙する物語です。

場面は新型コロナウィルスと思われる患者を救急車で搬送している場面から始まります。長野県内で感染者が徐々に増加しつつある中、地域では筑摩野中央医療センターと信濃山病院しか患者を受け入れず、自治体も遅々として動かず、現場の医師たちが命を削りながら、医療の現場を支えている様子が描かれています。同じ病院の違う科の医師からさえ理解を得られず、「なぜ命をかけてここまで働かなければならないのか」という現場医師のリアルな声が聞こえてくる作品です。

主要な登場人者

  • 敷島寛治:主人公の内科医
  • 敷島美希:寛治の妻
  • 朝日:筑摩野中央医療センターの医者。学生時代の友人
  • 三笠:信濃山病院の内科部長
  • 龍田:敷島の同僚の外科医
  • 千歳:龍田の上司で外科科長
  • 音羽:内科唯一の女性医師。5年目の医者
  • 富士:循環器内科医。年配の62歳
  • 日進:肝臓内科医
  • 四藤:感染症担当看護師

感想

恐らく、まだワクチンが出来ていない頃に描かれた小説で、最後は自然と感染が落ち着き少し希望がみえたところで物語は終わります。ただ、「現実は小説より奇なり」と良く言ったもので、おそらく夏川草介先生が想定していたより現実世界は相当に悪い状況に陥っています。GW前に緊急事態宣言を出すも、感染が終息する気配もなく、ワクチンの接種も遅々として進まない。インド変異株の猛威が日々ニュースで伝えられ、いつ事態が鎮静化するのか見えない状況です。

この小説を読んで、敷島寛治の「この戦、負けますね・・・・」の声に象徴される通り、負け戦の中で命をかけて働く医師たちに心を打たれました。ただ、医療崩壊が起きている中で、医者がここまで頑張るべきなのか、国民が医者を搾取しているだけではないか。このまま国民は不満ばかりを言っていて良いのか、と強く思わされる作品でした。

夏川草介が無事にまた十分に執筆時間を取れるような平和なときが早く訪れることを祈ってやみません。また、僕自身も医療の現場に負担を掛けないよう、十二分に感染症対策を行おうと固く決意しました。

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